意識低い系・理系大学院生のマインツ留学体験記

化学専攻の修士2年生です。10月から約2ヶ月半、ドイツのマインツ大に留学。意識が低くても留学生活を満喫できることをお伝えできれば幸いです。

ご報告 - 明日、日本帰ります

とうとうこの日が来てしまいました。

12/21にフランクフルトを出発し、12/22に日本のどこかに帰ります。飛行機が墜落したら、まあこの記事が遺書みたいなもんになるのかなということで、そこそこ真面目に書こうかなと思いつつも、なんかだるいので適当に思ったことを書いていきます。ついでに8時間の時差はこっちでなおして帰ろうと思います。文章として成り立っていない単なる思いつきの列挙です。

  • 日本に帰ってからは「留学生というアイデンティティが失われたわたしとは一体何なのか」……そういう問いに対する答えを探し続ける日々が始まるんでしょうね。もしかしたら意外とすんなり元通りになるのかも。いやあ、こればかりは帰ってみるまで分からないですね。
  • 思い返してみれば、留学してみてこうなりたい!あの技術を身に着けたい!とは建前では言っていたものの(それを言わないとトビタテには通らない)、本心ではどう思ってたのかといえば、このブログのタイトルにもある通り、ひたすら意識が低く、怠惰なだけでした。「パスポートとるのだるい」「飛行機乗るのだるい」「英語しゃべれないからだるい」「ドイツ語はなおさら分かんないからだるい」「国際交流とか意識高いから無理」みたいな感じでした。一方で「じゃあ何でお前留学したんだよ!」と、心の中のもう一人の冷静な自分がツッコミ続けてたという感じでした。
  • このツッコミを入れ続けてくれた存在こそが「意識」そのものなのかなあ、なんて思います。こいつがいなかったらとっくの昔に不登校になって酒浸りの日々を送ってたんだろうなと思います。酒浸りの日々は送りつつも「いやお前留学してるんだから学校行って実験しろよ」とツッコミ続けてくれたこの存在。まあ、ツッコミばかりじゃなくて、たまには「いやーやればできるじゃん!」とホメてくれたりもしました。例えば、アムステルダムに行って帰ってこれた時とか、ドイツ人しかいない空間で30分間くらい英語を喋り続けた後とか。なんだろうなあ、自分にとっての自分って意外と見えにくいものなのかもしれませんね。わたしの中に宿る意識高いツッコミくん、君がいなかったらわたしは今頃ドイツのビールに文字通り飲まれてアル中の廃人になっていたところでした。君がいてくれて本当に良かった。ありがとう。
  • わたしは結構感情的?感傷的?になりやすいタイプで、人間としての軸がブレブレなんですよね。ある日これやりたい!と思い立ったものの、次の日には飽きてる……。こういうことを繰り返してきた人生でした。よく「多趣味だねえ」と言われるんですけれども、ただ単に飽き性で軸がないってだけです。今でも続いてるのは一向に上達しないギターと一向にイカが釣れない釣りぐらいでしょうか。あとは、大学1年生から数えてなんと6年間、腐れ縁みたいな化学って学問ですかね。
  • 化学は続いてるというか、続けざるを得ないから続けてたみたいなところはあったんですが、この歳(24さい)になって、ようやく「あぁ、こういう学問だから面白いんだね」ってところに来れた気がします。興味を持ったことを試してみる!というハードルが案外低いんだなということがようやくわかりました。カラムだるいとか再結晶しても結晶にならなくてウザいとか、まあイライラは絶えないんですけれども、そこを乗り越えた先にはですね、気持ち悪いニヤニヤ顔で自分で出したデータを眺めて「さてどうやってプレゼンしようか」「さてどうやって報告書作ろうか」って、iQOSをスパスパやりながら、好きな音楽を聴きながらボーっとできる瞬間が待ってるんですよね。
  • 今週の月曜日、こちらでやってきた実験と、あと少し日本の文化紹介っていう2つのトピックについてプレゼンする機会があったんです。意識低いので結局土曜日の夜になるまで資料作りには手がつかなかったんですけれども、やり始めたらまあ楽しいこと楽しいこと。やめられないとまらないかっぱえびせんよりも嬉しくて楽しかったです。資料の出来栄えはですね、ツッコミ君によれば38点らしいんですけれども、彼がいうには「お前よくこんな資料でさあ、ドイツ人しかいない空間で30分も間を持たせられたなぁ」ってことらしいです。ありがとう。
  • データって面白いんですよね。「つまんねえな」と思いながら眺めてたら全てがゴミみたいに見えるんですけれども「これをこう並べ替えたら綺麗になるね」「このデータを中心にストーリーを作ろう」「先行研究では見えてこなかった現象がいっぱいあるじゃん」みたいな、うおーおもしれ~っていう、まぁなんというか、小学生がカブトムシ捕まえてじっくり眺めてる感じですかね?ああいう原体験って人間24年間も生きてたら一回くらいはあると思うんですけど、そういう前向きな気持ちとともに眺めてると「あれ?なんでつまんねえなって切り捨てようと思ったんだろう?」と、自分で自分がわからなくなってきて、これもまた面白いんですよね。研究っていうよりは自分の精神世界が面白いのかも。いや研究が面白いからこそ、その研究というメガネを通してこそ、自分でもわからないような自分のふかーい精神世界を見つめることができるのかもしれないですね。ははは
  • まぁこういうことを考えてると、化学という垣根を超えて、学問ってものが楽しいものなんだな、苦しんでやるもんじゃないんだなぁと思うわけです。釣りするときに「何を釣るか?」「いつ釣るか?」「誰と釣りに行くか?」「どこで釣るか?」「どうやって釣るか?」「エサは?」「ルアーは?」「針は?」「ハリスは?」……みたいに、無限に考えることって出現するんですけれども、美味しい魚が釣れたらうれしくてたまらないのであんま苦じゃないです。何ならボウズで帰ってくる時でさえ楽しいかもしれません。「いやーてんでダメだったなアハハ、何でだろ?わたしの腕が悪いの?それとも海が悪いの?」ってな感じで。で、釣りについて思いを馳せてると、わたしはたまたま「何を釣るか?」ってところで「化学」「有機化学」「高分子」を釣ろうとしてたんだなぁというわけですね。別に化学じゃなくても、およそ全ての学問は、「何を釣るか」が違ってるけれども「いつ誰とどこでどうやって釣るのか」ってところは共通してるんじゃないのかなあ。そりゃ世の中に学者という学者が溢れかえってるわけですよ。釣りで飯食うのは釣り竿を食べるのと同じぐらい難しいと思うんですけれども、それが許されてるひとってすげー幸せなんだろうなーと思いました。
  • プロ野球選手とまではいかなくても、好きなことやってしかもお金もらえてしかももらったお金で美味しい牛丼食べてホッコリ、って素敵ですね。そういうささやかな幸せって、意外とその辺に転がってるのかもしれないですね。ただ気づいていないってだけで。
  • エミネムの名曲"Lose Yourself"の最後に、エミネムが"You can do anything you set to your mind to, man"って喋りかけてくるんですよ。中学生ぐらいの頃は何言ってんだこいつって思ってたんですけれども、今となっては、ああおっしゃるとおりですエミネムさん、牛丼食ってうめえ、風呂入ってさっぱり、たばこ吸ってスッキリ、そういうささやかな幸せに目を向けるっていうマインドをセットすりゃー何でもできるっていうか、何でも楽しいですよね!と、思います。
  • ひとりの人間がどこまで何ができるのか?それはやってみるまでわからない。できるかどうかもやってみるまでわからない。だから楽しいんだ!そう思えました。それでようやくスタートラインに立ったんだなぁ、いささか気づくのが遅かったかなぁ、と、若干後悔しつつもですね、嬉しいです。ハッピー
  • たかが二ヶ月半ドイツにいただけで何言ってんだこいつ、と、先程のツッコミ君は常にわたしのボケを拾ってくるんですけども、いいじゃねえかツッコミ君、見ただろ?ドイツ人しかいない空間で生き延びたこの二ヶ月半を!どや!って言い返せるっていうか、自問自答のさらにヤバくなったバージョンみたいなことを続けてるんですけど、ようやくツッコミにツッコミをかぶせるという漫才の高等技術を会得できたんでしょうかね。楽しい。わーい
  • ……といったこれまで垂れ流してきたようなことがらが常に高速で脳内を駆け巡ってるんですよね。いやあもうちょっと実用的なことがらに対する考えが高速で脳内を駆け巡ってくれてれば今頃もうちょっと賢くなれてたんちゃうのと思うんですけども、それはおいおいやってきますかね。今はひたすら感傷に浸り続けたい気持ちです。
  • このブログを書き始めてからというものの、文章の構成だとか内容の面白さだとかは一旦置いといて、量書くってことに関してはわりかし自信が持てました。エレベーター見ただけで1000文字近く書けるんだなあっていう。エレベーターを見ただけだったらクソつまんないんですけど、なんでボタンがないの、あぁそうかボタンなくても困んないのか、なるほどなぁ、と考えを進めていけばちょっとはオリジナル?になってるのかどうかは知りませんが、少なくとも自己満足できます。これ大事。自己満足を垂れ流す。これほんと大事。垂れ流す場所がないとね。うん。ブログ書くのは結構楽しいですね。はい。
  • いやー何の話してたんだったかもう忘れちゃいました。

 

とにかく、留学してよかった。