学んだ実験小技①〜超音波洗浄機+フローター〜
タイトルにある超音波洗浄機(英:sonicator、意識低いので留学するまで英語でなんていうか知りませんでした)ですが、一般的にはメガネの汚れ落としに使いますよね。チュイーンってやって、皮脂とかゴミとかを落とすやつです。
実はこの超音波洗浄機、有機化学の実験でも結構役に立ついいヤツなんです。ということで、留学先で「おーええやんこれ」と思った小技をひとつ紹介したいと思います。
そもそも超音波洗浄機、何に使うん?
「モノを溶かしたい!」って時に使います。
何かを合成したい時は、原則、均一な反応溶液にすることが望ましいです。なぜなら固-液二相系の反応は進行しにくいからです。物理化学の講義で2回くらい再試受けることになったことがあるぐらい意識低いので理由はあんま知りません。エントロピーがなんとかかんとかってことですね。
ということで、普通に合成していると、よく「何としても溶かさなきゃならん!」ってシチュエーションになります。
しかしながら原料の化合物のなかには死ぬほど溶解性が悪いやつがいて「全然溶けない、どうしよこれ」ってなることがままあります。そしてそいつらを「どうしても溶かさなきゃならん!」って時に使うのが、タイトルにある超音波洗浄機です。メガネの汚れ落としと同じように、超音波パワーで固まった塩とかを粉々にしてやります。
他にも「ガラス器具の汚れが落ちない」なんて時にも役立ちますね。溶媒を入れてチュイーンってやると、たいていキレイになります*1
小技〜フローター〜
というようにして便利な超音波洗浄機ですが「30分くらい超音波かけながら放っておきたい」ってときにちょっと困りますよね。なんせメガネと違って、合成する時って基本的に中身を水に浸したらダメなので。かといってずっと手で持ってるというわけにもいかず……という悩みがあるわけですね。
そこで学んだのが、この「フローターを使う」という技です。フローターって勝手に名付けましたが、要は水に浮かせる発泡スチロールみたいなやつですね。これに容器を括り付けて浮かせば……あら簡単!放ったらかしにしてても安心です。それに、安定して器具を立たせるために洗浄機の水位を下げてやるとかそういう面倒くさいことをしなくてもオッケーなのがいいですね。ちなみに材質ですが、わたしの留学先ではAmazonで買い物したらついてくる緩衝材みたいなものに穴を開けて使っています。
このフローターですが、留学先のラボには2種類サイズがあります。バイアル用、チューブ用って感じですね。
まとめ
- 超音波洗浄機、実はメガネ専用ではない
- 有機化学者はメガネ洗いよりも専らモノを溶かすために使っている
- フローターを使うと非常に便利である
ということでした。こういう小技みたいなのって、いつ誰がどうやって思いついたの?とか考えると面白いですよね。個人的には、NMRチューブが刺さるサイズのものを作ると、高分子化学者は幸せになれるんじゃなかろうかと思います。
他にもいろいろな小技があるので、そのうち気分が乗ったら書いていこうかと思います。
ありがとうございました。