意識低い系・理系大学院生のマインツ留学体験記

化学専攻の修士2年生です。10月から約2ヶ月半、ドイツのマインツ大に留学。意識が低くても留学生活を満喫できることをお伝えできれば幸いです。

ドイツでは休むことが美徳になっているという話

過労死」という言葉があります。働きすぎて死ぬってどういうことやねんと小学生くらいの頃は思っていましたが、24歳にもなるとああなるほどな、と思う瞬間が多々あります。一方ドイツではどうなのか……ということについて、浅い経験(10日間の滞在)ながら、思ったことについて書こうと思います。

 日本の夜は遅い

日本のコンビニって24時間開いてますよね。加えて、イオンなどのスーパーマーケットも所によっては24時間営業しています。あー夜遅くなったし弁当買って帰るか……といった感じで利用できて便利ですよね。もはや、24時間営業の店が無いと不便に感じるぐらい、身近な存在になっています。

ドイツの夜は早い

こちらの事情は真逆でして、マインツが田舎だからなのかもしれませんが、わたしの住んでるところのスーパーやドラッグストアは8時になったら全部閉まります。遅くまでやってるのはカジノや居酒屋くらいですかね。日本の24時間営業スタイルに慣れきったわたしにとって、これはエラいことです。夜中に酒飲みてーなーと思ったら、ひと缶2.5ユーロ(300円くらい)の自販機にいかなければなりません。たけえ。

加えて、日曜日は店という店が休業してます。やってるのはケバブ屋さんぐらいでしょうか。ということで、土曜日のうちに買い物を済ませないとえらいことになります。今は持ってきた袋麺がまだあるのでいいんですが、そのうちマジでケチャップと水で凌がなければならなくなるかもしれません。あな恐ろし。

無論、ラボの夜も早い

前回の記事にて紹介したように、わたしの所属しているラボでは9:00-19:00で働いているとハードワーカー扱いです。日本の感覚からするとあり得ないですよね。19時半とかになると本当に誰もいなくなります。すげえ。

そして土日ですが、実験できないので基本的に誰も来ません。すげえ。

ちなみにですが、NMR(有機化学をやるひとにとって無くてはならない測定装置)も、夜8時になるとカーボン測定モード(長時間測定モード)に切り替わっちゃうので、普通の測定がしたかったら日中に全部やる必要があります。すげえ。

休むことは美徳なのか

というようにドイツは、徹底して「夜は早く寝ろ!」というシステムになっているわけです(スーパーマーケットや大学のラボを見た限り)。何でここまでせっかちなんでしょう……。もしかすると、彼らは「休むことが美徳である」と考えているのではないか?などと思うわけです。

思い返せば、日本に居た頃は夜まで実験してヘロヘロになって家に帰り、寝たのか寝てないのかよくわからないまま重い体を引きずり、いつ事故を起こしてもおかしくないようなコンディションなのに車を運転して学校に来て……という日がそこそこありました。いったい何のためにわたしは摩耗しているんだろうか?という疑問は全く無かったわけではないのですが、典型的な日本人な私は「みんなそうしてるし……」と、がんばってました(がんばっていたとは言っていない)。

ところが、ヘロヘロになってるときに実験すると、アホみたいなミスで大事なサンプルをおじゃんにしたり……と、頭がまともに働かないのでつまらない失敗ばかりします。無論、デスクワークも同じです。気がついたら同じ単語を10回くらい辞書でひいてたりします。アホみたいですが、本当にあったことなんですよね……。

といった経験を「早く帰って寝ろ」というドイツのシステムに放り込まれてから振り返ってみますと、これまでいかに「まともに働くためには休まなければならない」という意識が欠落していたことを思い知らされます。

確かに労働は美徳です。いっぱい実験していっぱい測定して、いっぱいいいデータを出す人は偉い。それは確かに正しいのですが、わたし(たち)は故障知らずの精密機械ではなく、人間なのです。徹夜で麻雀をやってて六対子で上がれたりした経験がある人はそこそこいると思います。当たり前ですが、まとまった時間眠らないと人間は死にます

朝起きて、夜寝る。早寝早起き朝ごはん。こういう基本的なところが、ドイツ人にとっては美徳そのものなのだと思いました。「働かなければならない」ではなく「休まなければならない」というところから思考をスタートすると、なんだか知らないうちにポジティブになりませんか?わたしはこちらにきてまだ10日とかそんなもんですが、ガラっと意識が変わった気がします(高くなったとは言っていない)。

まとめ

  • 日本の夜は遅い
  • ドイツの夜は早い
  • 「働かなければならない」ではなく「休まなければならない」のほうがポジティブになれそう

 

ありがとうございます。