「閉めるボタン」がないエレベーターに出会った話
エレベーターの閉めるボタンってありますよね。乗ったらとりあえず押します。するとドアが閉まって、エレベーターが動き始め、やがて目的の階に着きます。至極当たり前の話ですよね。何も疑問を持つ余地がありません。ところがドイツでは……。
ドイツのエレベーターから考えさせられること
ところが、ドイツのエレベーターには閉めるボタンがありません。開けるボタンだけあります。
当初は「なぜ閉めるボタンがないの?不便に思わないのかな?」と思いました。しかしよく考えてみると、そもそも「何で閉めるボタンがあるんだろう」ということを考えなければならないことに気づきました。取るに足らないつまらないことですが、今まで考えもしなかったのでとても新鮮でした。
開けるボタンの存在意義は考えるまでもなく、ドアが開き続けていないと困る場面はいっぱいあるので当然必要です。人の出入り、荷物の運搬がそうですよね。
では、閉めるボタンの存在意義とは一体何なんでしょうか?あれ?無くても困らない……?これがカルチャーショックなのでしょうか。確かに放っとけば自動的にドアは閉まります。わざわざ人がボタンを押して閉める必要って、よく考えると無いですよね。
当然「早く閉めたい、時間がもったいない」という考え方もできます。ですが、たかが数秒のために1つボタンを増やす手間をかけるのって、どうなんでしょう?閉めるボタンが存在するがゆえに「押さなければならない」という義務が課せられ、数秒のロス以上の重苦しい何かがエレベーターの中に広がっていきます。それに、自分が押した閉めるボタンのせいで人の出入りを遮ってしまい、気まずい雰囲気になることってよくありますよね。間違って押してしまった閉めるボタンのせいで壊れた友情や信頼関係……。あるかもしれませんね。
……というように、こちらで過ごしていると、当たり前だと思っていたモノ・コトについて考えさせられる場面が多々あります。閉めるボタンの有無は取るに足らないことですが、これが留学する意義のひとつなのだなと、ハっとしたできごとだったというわけです。
まとめ
- ドイツのエレベーターには「閉めるボタン」が無い
- 「閉めるボタン」の存在意義は哲学的な問題である
- 留学は楽しい
ありがとうございました。